ランブレッタ修理

LAMBRETTA TV175 ser2 190ccアルミシリンダー換装

2014年12月 1日 17:36

今回はLAMBRETTA TV175 ser2です。
この車両は、当店で在庫していたモノをベースにお客様のご希望に沿った内容で仕上げる予定です。

車両の程度は、レッグシールド、リアフットボード等は各所にぶつかった跡がある物の、
全体的にはオリジナルの塗装も残っており程度は良いと思います。
実は車体を分解する前から分解するまでの画像データが飛んでしまい、
たまたま写真を撮っていたお客様に画像を頂きました。
そんなことも有り、中途半端な状態から画像が始まっている事をお許し下さい。

エンジンを降ろしました。泥を被って汚く見えますが欠品部品等も無く良好な程度です。
ただキックが降りないのが気がかりでしたが、どうせエンジンO/Hするのだから
特に問題無いと高をくくっていました...。

スチーム洗浄で、あらかた泥や油汚れを落としてから分解します。その方が作業がスムーズに進みます。
クラッチ側のケースを外した所です。
ケースを止めているナットがすべてオリジナルだった事や、ケースガスケットも
オリジナル部品が使用されている事等から過去にほとんどエンジンを開けていないという事が推測されます。
変にいじられていないエンジンは、直すのも楽です。

Ser1~Ser2の初期までは、クラッチのセンターにタブワッシャーが有りません。
初期Ser2はドライブスリーブの前にスロワーワッシャーが入りません。

マグフランジも初期型特有の部品です。
マグサイドのベアリングはピストンと同様、
キャブレターから送り込まれたガソリンに混ぜた2サイクルオイル潤滑させます。
この後からはオイルシールでベアリングを挟み込みグリスで潤滑するようになります。

しかし抜けないマグフランジ。クランクケースを熱してもだめ、
仕方ないので叩いて外すことにしましたがそれでもだめ。
終いには、中心部を残してバックリ割れてしまいました。
この辺りから嫌な感じがしてきました。

残った中心部、コレはただ事ではありません。
多分キャブレター等から大量の水分(雨等)が進入し、クランク室が錆付いてしまっているのでしょう。

困った挙句、固着しているクランクケースを削ってしまいました。
と、文章に書くのは楽ですが、ケース本体にダメージを与えず作業を行うのは大変苦労しました。

クランクシャフトとクランクケースも一体化寸前です。

ようやくマグフランジが外れました。潤滑油を染み込ませとりあえず本日はタイムアップ!
そういえば、ピストンとシリンダーも固着して外れなかったような...
そこが外れなきゃクランクシャフト抜けないんですけど...はてさて。

作業再開。思った通りにピストンはシリンダーと一体化してしまっていて外れません。
この状態だと、プレスの使用も無理です。そこでどうにか隙間を作り、ノコギリでコンロッドを切断しました。

どうにか取り出した元クランクシャフトです。

ピストン、シリンダーはご覧の通りの有様です。
今回このシリンダーは使用しないのでこのままでも良いのですが...

せっかくプレスが使える状況になったので、ピストンを抜いて見る事にしました。
5t位の油圧が掛かった辺りから、ガツ、ガツと鈍い音を立てながらピストンは抜けました。

抜けた元ピストン。

本来この部分にはオイルシールプレートが見えるはずなのですが、錆びが邪魔して見えません。
この後、プレートを止めているマイナスボルトを外すのも相当苦労しました。

やっとの思いでプレートを外し、クランクシャフトベアリングを抜きます。
サイレントブロックはゴムがへたっている様であれば、エンジンO/Hの際に必ず交換しましょう。

特殊工具を使って抜きます。間違っても叩いて抜いたりしてはいけません。
ケースが折れてしまう可能性があります。

DL/GP用のクランクシャフトに交換します。
LI/SX用との違いはフライホイール側のシャフトのテーパー径、長さ等です。
なぜこのクランクシャフトに交換する必要が有るのかと言いますと...
このフライホイールキットを入れたかったからです。
最近発売されたモノで『VARITORONIC』と言います。
今までのCDIキットとの違いは、重量が軽い、自動進角で有る事、出力が90Wとと大きく消費なので、
35Wのハロゲンバルブを付けても暗くならない、イグナイター、レギュレーターが小さいので
取り付けの際目立たない等が上げられます。ただしかなり割高ですが。

シリンダーは190CCのアルミシリンダーを使用します。
排気ポートもノーマルに比べ大きくなっていますが、タイミング自体はノーマルと殆ど変わっていません。

アルミシリンダーですので、ニカジルメッキが掛かっています。
シリンダーに合わせて、シリンダーヘッドのスキッシュを広げる必要があります。
ケース側の掃気ポートもシリンダーに合わせ削りました。

エンジンが組み上がりました。
排気量が上げる事を踏まえてサイレントブロックはロングタイプ(TV Ser3、SX)に変更しました。

今から走るのが楽しみです。

次回はボディーに取り掛かります。

分解したボディー廻りです。非常にオリジナル度が高いので、今後の為に部品を細かくチェックします。

今回の車輌はリアフェンダー、シリンダーシュラウド、リアフットボードの裏、
サイドパネルの裏等オリジナルに準じて、アンダーコート仕上げにするので
オリジナルがどんな風になっているかをジックリチェックです。

全体的に言える事ですが、本来アンダーコートを塗るべきフェンダーの裏を塗っていなかったり(
表だけ塗っても意味ないのですが・・・)フットボードの裏や、レッグシールドの裏等は
もうちょっとしっかり塗れよと突っ込みたくなる位適当に塗っています。

センタースタンドが付くフレームチャンネルは曲がっていたので修正しました。
チャンネル修正後、センタースタンドのチリ合わせを行います。
センタースタンドは、ストッパー部分が曲がってしまっている事が多いのですが
余りにも曲がっている箇所が多い場合は新品に交換した方が安上がりな場合も有ります。

ランブレッタの板金を行う場合、部品単体で見てしまうと組み上げる時にチリが合わなくなり。
パーツとパーツの隙間が開いてしまったり、最悪の場合パーツが取付け不可能なんて
場合もありますのでチリ合わせ、仮組みしながらの板金が必要になります。

仮組みを行うと、フットボードとレッグシールドの間に隙間を発見。もちろん修正して、隙間をなくします。
最近のリプロダクションされたネーム類は微妙に穴位置が合わない事が多いので穴位置を修正します。

オリジナルに似せて適当にアンダーコートを塗ります。この後いよいよ組立て作業に掛かります。
先ずフロントハブの組み立てです。ハブベアリング、オイルシールはもちろん新品に。
ギアがなめていたメーターギアも新品部品に交換。
あと忘れてはいけません、ブレーキシューの当たり面は旋盤で芯円研磨しておきます。

この年代の車両は、悪く言えばコスト面を考えてないと言いますか、かなり丁寧な作りになっています。
フロントフォーク廻りのグリスニップルはピボットボルトの先端、
リンクアームのスプリングピストンの受け部分に有ります。
Ser3以降はピボットボルトのニップルが無くなり、DL/GPになるとリンクアームのグリスニップルも無くなります。
アウターにもグリスニップルが付いています。

初期型のTV2の大きな特徴である、フレーム強化を狙っただろう
フレームのリブは非常に手が込んだ作りです。
しかしコスト、手間を考えるとほんの短い期間しか作らなかったなったのが理解出来ます。

ガソリンタンクもリブの逃げを作ってあり、EarlyTVSer2専用部品です。
オリジナルのレクチファイヤーボックスを利用してVARITRONICのレギュレーターを収めます。

チャンネル修正後、センタースタンドのチリ合わせを行います。
センタースタンドは、ストッパー部分が曲がってしまっている事が多いのですが
余りにも曲がっている箇所が多い場合は新品に交換した方が安上がりな場合も有ります。

イグナイターも目立たない場所に設置します。
(オリジナルだとH.Tコイルがある場所です)

完成です!リアショックは、TAFF SPEED製のモノに変更。
そのままだと雰囲気が崩れてしまうので、ブラックで塗装しオリジナル風に仕上げました。
バッテリーのコーションステッカーはデカール製のモノが出てますので貼ってみました。
(この車両はバッテリー搭載しないのですが・・・)
このデカールは非常にモノが良く貼り易くてお勧めです。

個人的ですが、Ser1,2はタイヤを横に積むのが似合っていると思います。
Ser1,2用のタイヤキャリアーはリプロダクション品が出ていますが、
タイヤの上に載せるタイプのキャリアーは残念ながら入手困難です。

メーターの文字盤は、もともと付いていたモノが非常に綺麗だったのでそのまま使用しました。
車体はブールーメタリック一色で仕上げました。

車体色が一色ですと、色のチョイスが難しくオーナーも非常に迷って何度も調色しましたが、
結局色はTVSer3オリジナル色のブルーメタリックを参考にし、お客様のアレンジを加えて調色致しました。

185ccのシリンダーKIT、ビッグボアマフラー、KEIHINのキャブレターのおかげで
非常に乗り易い車両に仕上がりました。今回初めて使用したVARITRONICのおかげで

ハロゲンバルブの実力を余す事無く発揮しています。
(ちょっと明る過ぎて前の車に迷惑かな?と心配になる位です)

このエンジン仕様であれば、長距離ツーリング、待ち乗り等様々なシーンにも
対応出来るのでオーナーさん乗り倒してあげて下さい。

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