ランブレッタ修理

LAMBRETTA SX 200 事故転倒車両を修理

2014年11月15日 10:57

今回ご紹介します車輌は、LAMBRETTA SX200(SPECIAL X 200)です。

前オーナーさんが、事故で転倒した車輌を修理すべく分解したのですが、
色々な事情が重なり頓挫していたモノです。
それを見かねた現オーナーさんが口説き落とし購入、当店へと修理の為持ち込まれました。

車輌分解時に欠品部品の有無、現在付いている部品の再使用出来るかチェック、
メッキ等の外注加工部品の選定、を同時に行います。

分解されている車輌の場合は、分解作業が無い分、工賃を安くとのリクエストを頂く事も有りますが、
分解された車輌は上記の作業を行えないので、かえって時間が掛かってしまう場合があるのです。

事故で転倒した影響で、リアのフレームバッチの下辺りから、
テールベースに掛けてのフレーム部分が左方向に曲がってしまっていました。

外装は、大転倒した割に、大きな凹みは有りませんでした。
しかし、フットボード左側が真ん中から裂けてしまっているのと、
レッグシールド左側の曲がり、ハンドルの左側が折れてしまったらしく溶接で付け直してありました。

チェーンケースの片側を外した所。
チェーンガイドのアッパーを最大まで上げているのに、チェーンがダルダルです。
この状態で走っていると、弛んだチェーンがクランクケースを削ってしまったり、
最悪の場合チェーンガイドを破壊し、破片がギアーに噛み込みタイヤがロック!
なんて事態にもなりかねません。

クラッチボスのC-リングの引っ掛け部分が、大きく削れ、それにクラッチトッププレートも削れてしまっています。
原因を探って外したキック側のクランクケースを見てみると‥・
キックシャフトが擦れていたようです。
ココまでシャフトが削れてしまっていると、キックスタートの時にシャフトが折れてしまう可能性が高いので、
再使用はせずに新品に交換致します。

ピストン、クランクシャフト等はとても状態が良く、再使用可能でした。
しかし今回は、225ccにボアアップ、吸排気等に手を入れて、
より一層乗り易さを追求したエンジンにしてみたいと思います。

毎度の事ですが、クランクケースはウェットブラストを掛けました。
セレクタースパイダーは新品に交換。
ギアボックスのナットは締め付けトルクを均一に!
当店で販売しているCDI、12Vフライホイールのボスを作り直してありますので、
走行中緩んでしまう事は有りません!

この車輌には225ccアルミシリンダーを組み込みます。
ノーマルのシリンダーと比較するとポートの大きさが大分違います。
このシリンダーは、ピストンバルブのままですのでノーマルのキャブレターも取り付けが可能です。

排気ポートも大きさが違います。ポートのレイアウトはTS1とほぼ一緒のようです。
シリンダーヘッドは、シリンダーのボアに合わせてスキッシュを削ります。

プライマリーギアは47/18に変更。
SX200のギアレシオは3速と4速が若干離れ気味なので出来れば、
TV200のギアか社外のクロスミッションを入れたいところです。

ランブレッタの板金ほどめんどくさいモノは無い。
イタリアのボディーショップマンもかならずぼやいているだろう...。
パーツ点数の多さとパーツどうしの関係性、細かく入ったアールとプレス。
言い出したらきりが無いのでご説明にはいりましょう。

まずはツールボックスの蓋から見ていきましょう。
チリが合わずに光が漏れています。
下がずれれば上もずれる。コレ当然。

格闘する事4時間、ボックスの蓋は綺麗に閉まるようになりました。
叩き方や直し方まで紹介すると単行本が作れる勢いになりそうですので、追々このコーナーでご紹介します。

なんて言っている間にフットボードがやってまいりました。
コイツはフレームに生えてる「ゲタ」と後ろ側を支えるサポートとの関係を維持しながら
レッグシールドとの並行を出すという、三角関係を克服しなければなりません。

ゲタ(スタンドとレッグをを支えている補強)の水平を出す事から始めましょう。
その次にリヤのサポートとの水平を出す。書くのは簡単ですけど仮組みをうん十回と繰り返します。
ランブレッタは転倒したりするとスグにゲタとサポートが曲がりますので板金の際には絶対に必要な作業です。
両者の関係が徐々に親密になってきた所に、御大のレッグシールドが我が者顔で登場となるわけです。
ココでの関係性は上の画面左のフットボードと右のレッグシールドの隙間(ちょうど画面中央)を均一にし、
フレームに対して平行にする作業が求められます。
どっちからも責められながらうまく切り抜ける中間管理職的なバランス感覚が必要です。

次はパネル対フレームの隙間対決です。
ここはボルト止めなどの仮組み作業が必要ないので
叩いたらはめてみるを何度も繰り返し少しつつ形を整えていきます。
SX200のパネルはなにせプレスライン命ですので大量のパテを使って
プレスラインを消すようなマネは避けてください。

レッグシールドとフェンダーの合わせ面のアップです。
レッグとフェンダーを両方叩きながらの作業になります。
叩く時には仮組みを外して作業を行い、ある程度形が決まったら再度仮組み、これの繰り返しです。
先ほどから『繰り返し』という表現ばかりですがベスパ、ランブレッタ問わず
板金にはセンスももちろん必要ですが忍耐の方が重要な要素になってきます。

叩きだしと仮組み、溶接等を終わらせた写真です。
この他にもスタンドやノーズと言ったパーツも仮組み対象で、すべてを相対的に見ていく必要があります。

準備が整ったらいよいよブラスト。
この作業の後は一気に仕事を進めないといけません。1週間もするとどんどん錆が出てきますので、
サフェーサーまでは×2倍のスピードで。

ハリガネやフックを使って宙吊り状態でフレーム塗装を行ないます。
慣れないと裏側などは塗装しづらいかも知れませんがぜひがんばって挑戦してみてください。
塗装するガンは下に潜り込んで上に向かって吹く必要性がありますので重力式のガンをおすすめします。
カップの口をしっかりとしめておかないと苦い塗料をしこたま乾杯することになります。

白の塗装後2トーンでの塗装を行なうためテープでマスキングしてあります。
マスキングテープも端だけは塗装用のビニールマスキングテープと言うのがありますのでそちらをお使い下さい。
間違って普通のビニールテープを使うと塗装面がベトベトになり後処理が非常に困ります。
それと塗膜を厚くしすぎると段差がきつくなり、はがす時もエッジがボロボロになるので、注意が必要です。

疲れたので翌日にテープを剥がそうなどと考えると地獄がまっています。
エッジは張り付き剥がれず、テープは塗装面に張り付きベトベト・・・、はいっ!すぐにやります。

そんなこんなで塗装完了です。
白パーツのみですがちゃんと2トーンのサイドパネルやノーズも塗ってあります。

塗装が終わり、車体の組立て作業に入ります。
フロントフォークのリンク廻りは、この様な順番で組み込まれています。
SXの後期になると、リンクバッフアーは通称プッシュインタイプに変わってしまいます
(それ以前はバファーをボルト二本で留めていました)。
その後に出たDL/GPもこのプッシュインのバッフアーが使われます。

忘れがちなのがこの部品、ツールボックスフラップのヒンジの裏に
バッファーゴムが入っているのがお解かりになりますでしょうか?
コレが無いとヒンジがボディーに当たってしまい塗装が剥がれてしまいます。

フロントフォークを挿入後、アウターワイヤー、配線等を仮止めをしている様子です。
この後ハンドルのロアーを付けアウター、配線の位置を決め、専用のアルミのバンドで固定します。

この車輌はバッテリーを搭載しないので、板金の際にトレーを取ってしまう事もできたのですが、
お客様のリクエストでチョット変わった使い方をする事にしました。詳細は後ほど!

レクチファイアーは必要ないのですが、綺麗だったので中身を抜いて、配線のジャンクションとして使用します。
ノーズやフェンダーが付くと大分サマになってきます。ノーズの先端はバフ仕上げに致しました。

巷では効かないと言われている、機械式のディスクブレーキですが、
キッチリ整備をしてあげれば充分効くようになります。
余談ですが、市販社初のディスクブレーキ搭載モデルはCB750Kだと思っている方も多い様ですが、
LAMBRETTAが最初なんです。

車輌完成です。
パールブルーの部分の色が、絶妙です。
この色をお伝え出来ないのが残念です。

個人的な感想ですが、ノーマルのSX200だともうチョットトルクが欲しいなーと思ってしまいますが
この車輌は排気量のアップ、吸排気の変更により速くて、
しかも乗りやすいバランスの取れたエンジンになったと思います。


バッテリトレーには、専用のボックスを作りオイルビーカー入れにしました。
このボックスは、取り外しが容易ですので、仮にバッテリーを積みたいと心変わりしても大丈夫なのです。

コレは、ツールボックスではビーカーを倒すしかなく、
オイルが漏れて汚れるの嫌ったオーナーの希望により製作しました。

本来サイドパネルのフィニッシャーの先端部には200の文字が入っているのですが、
あえて削り落としてしまっています。
意外と違和感が無いと思っているのは自分とオーナーだけでしょうか?

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