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VESPA150 VL2T

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work-swan.b-01.jpgこれが最初の状態です。ボディの状態は良さそうですが、

本来あるはずの車体番号が無かったり、ハンドルロックの取り付け穴が無かったりで、

オリジナルの状態に近づけるには意外と手間がかかりそうです。

 

 

work-swan.b-02.jpgあっという間にドンガラに。ココまでの工程はさほど難しくはないので、割愛させてもらいました。

 

 

work-swan.b-03.jpgフロント廻りは皆さん敬遠しがちなので、ココで詳しく説明したいと思います。まずはばらし方から。

 

 

work-swan.b-04.jpgホイールを外すとドラムがでてきます。

オリジナルであればマイナスネジが2つあるのでそれを外すと、ドラムが外れます。

マイナスネジを外してドラムが外れない時は、プラスチック・ハンマー等で後ろから軽く叩いてやります。

その際にドラムのフィンを叩いてしまうとフィンが欠ける事があるので注意してください。

 

 

work-swan.b-05.jpgドラムが外れた状態です。

余談ですが、この状態でブレーキシューを交換しようと悪戦苦闘して、

結局ブレーキシューを壊して外した人がいました。

しかしココはフロントアクスルを外さないと、ブレーキシューを外すのはおろか組む事もできないのです。

 

 

work-swan.b-06.jpgフロントアクスルの外し方。

センターナットを緩め、アクスルを叩きだしてあげれば良いのですが、

むやみに叩くとネジ山を潰してしまうので注意してください。

 

 

work-swan.b-07.jpgココもナットを緩めシャフトを叩きだしているところですが、

アクスルの時と同じようにシャフトを直接叩いてしまうとネジ山をダメにしたり、

シャフトが抜けなくなってしまうのでポンチ等を使用しシャフトのセンターを叩くようにしてください。

 

 

work-swan.b-08.jpg無事シャフトが抜けました。

この場所は雨や泥をもろに受ける箇所です。

メンテナンスを怠るとサビで抜けなくなる事が多いので、グリスアップはマメにしてあげてください。

 

 

work-swan.b-09.jpgココの中にはニードルベアリングが入っています。小さい部品なので無くさないようにしてください。

 

 

work-swan.b-12.jpgサドルシートをばらします。程度が思ったより悪く、シャフトがサビで固着していました。

このような場合、まず酸素であぶってからプレス等を使って抜くのがベストだと思います。

 

 

work-swan.b-13.jpgばらし終え各パーツをチェック。あぶって取ったシャフトや、痩せてしまったピボットは旋盤で作ります。

スプリングとチョークレバーは再メッキに出し、その他のパーツはサンドブラストをあて塗装に備えます。

 

 

work-swan.b-14.jpg150GSの薄いバッテリーにしたいというお客様の希望で、バッテリートレーを作り直します。

まず、トレーがスポット溶接されている箇所をスポットドリルでもみ、

タガネ等をボディとトレーの間に軽く叩き込んで外します。

 

 

work-swan.b-15.jpg余分な穴を溶接で埋め、新しいバッテリートレーの取り付け位置などを決めておきます。

 

 

work-swan.b-16.jpg1.0mm厚の鉄板を切り出し、ベンダーを使って折り曲げます。細かい部分はハンマーで調整しました。

 

 

work-swan.b-17.jpgパネルの形状、バッテリーの形、また新たにレクチファイヤーを取り付ける事を考慮して

このような位置になりました。

 

 

work-swan.b-18.jpg以前に取り付けられていたフロアーレールがオリジナルの物とは違う位置だったので修正。

まずフロアーの穴を全て埋めて、新品のレールに開いてる穴位置に穴を開け直します。

 

 

work-swan.b-19.jpg新品のレール(Rally.Sprint用)は角度や長さが違うため、フロアーに合わせて調整します。

ちなみにRally.Sprint用のレールは2台分ないと、この車種には足りません。

 

 

work-swan.b-20.jpgエンジンの分解過程を紹介していきます。シリンダーヘッドのナットを外しシリンダーを抜きます。

その際プラスチックハンマーやゴムハンマー等で、シリンダーの周囲を軽く叩いて衝撃を与えると

抜けやすくなります。鉄ハンマーだとシリンダーのフィンを確実に折りますのでご注意!

 

 

work-swan.b-21.jpgセレクターを外します。マイナスボルトを2箇所緩めたいのですが、

セレクターがニュートラルの状態だとドライバーが入りません。

セレクターをトップ側とロー側に動かす事によってマイナスドライバーが入ります。

 

 

work-swan.b-22.jpgマイナスボルトを2本外してもセレクターは抜けません。

写真のようにキックを下までおろしてあげると気持ちよく抜けるのです。

 

 

work-swan.b-23.jpgクランクケースの割り方です。本来は特殊工具を使って外しますが、無くても外す事ができます。

その際に注意してもらいたい点がいくつかあります。

 

 

work-swan.b-24.jpgまず、カセットコンロの上に鉄板を置きケース本体を載せ60℃~70℃くらいに温めます。

それからプラスチックハンマー等で叩いて外すのですが、叩いてもいい箇所は上と下の写真部分になります。

間違ってもクランクの軸等は叩かないようにしてください。

 

 

work-swan.b-25.jpgちゃんと温めてやれば意外とすんなり外れるものです。

 

 

work-swan.b-27.jpg

全てのパーツを取り去った状態です。外したパーツはよく洗って状態をチェックしておく事。
 
 
 
work-swan.b-28.jpg
ウェットブラストを打った状態です。
 
部品が残っている状態でウェットブラストを打つと、
 
その部品は再使用できなくなる可能性があるので外せるものは全て外しておきます。
 
 
 
work-swan.b-29.jpgクランクケースにクランクシャフトを入れます。
 
まずクラッチ側のクランクケースを温め、オイルシールとベアリングをはめておきます。
 
次にクランクシャフトのフライホイール側のみにベアリングをはめます。
 
その際にベアリングを温めクランク軸の奥まですんなり入るようにしておきます。
 
間違ってもベアリングを叩いて入れるような事はしないで下さい。
 
ベアリングは精密部品ですし、せっかく芯出ししたクランクの芯が狂います。
 
 
 
work-swan.b-30.jpgクラッチ側のクランクケースがまだ温かいうちに、クランクシャフトはめてしまいます。
 
しかしココでは特殊工具が必要になります。(希望があれば単品製作いたします)
 
もちろんココでもクランクケースを叩くようなまねはしないで下さい。
 
 
 
work-swan.b-32.jpg
この状態でフライホイール側のケースが暖まるのを待ちます。
 
 
 
work-swan.b-33.jpg
フライホイール側のケースにはオイルシールをはめておきます。
 
写真には付いていませんがキックレバーはこの時点で付けたほうが、ケースを合わせる時に楽でしょう。
 
 
 
work-swan.b-34.jpg
フライホイールのバックプレートもウェットブラストを打ちました。
 
 
 
work-swan.b-35.jpg
そのバックプレートに新品のコイル、ポイント、コンデンサーを装着しました。
 
その際配線は全て引き直しておきます。
 
 
 
work-swan.b-36.jpg
シリンダーASSYは新品を使用しましたが、
 
大概はシリンダーをボーリングしオーバーサイズのピストンを入れます。
 
今回はお客様のご希望で車体色と同じブルーに塗装しました。
 
 
work-swan.b-37.jpg
完成です。ちなみにフライホイールは着磁してあります。
 
古い車輌でライトが暗い、ライトをつけるとエンジンが止まってしまう...等の症状は
 
着磁をする事によって解決する場合が多々あります。
 
 
 
work-swan.b-45.jpg
色は落ちついた深みのあるブルーで、今回はクリアーを使わず仕上げました。
 
クリアー仕上げに比べ艶は落ちるものの、古いスクーターには質感的にもこちらのほうが似合います。
 
 
 
 
work-swan.b-46.jpg この状態でアウターワイヤーや引き直した配線を入れます。エンブレムはこの時点で付けておきます。
 
フロントフォークを入れてからだと、エンブレムのツメが折りこめません。
 
 
 
 
work-swan.b-47.jpgフロントフォークのベアリングをレースの上に1個ずつ並べていきます。
 
この時粘度の高いグリースを使用すると良いでしょう。
 
今回はギアチェンジのアウターをテフロンチューブ入りステンレスワイヤーの物を使用しました。
 
それを入れる事によりギアのチェンジが軽くなります。
 
 
 
 
work-swan.b-48.jpgフロントフォークのニードルベアリングも1個ずつ外周に沿って並べていきます。
 
ここに入るシャフトは年式により径が変わるので、交換の際は注意して下さい。
 
 
 
 
work-swan.b-49.jpgフロントのダンパーはオリジナルの物をO/Hし、フォークオイルを若干粘度の高い物を入れてあります。
 
フロントスプリングはノーマルの物よりハイバネレートの物を入れてあります。
 
これで幾分かフロントブレーキをかけた際の沈み込みが軽減されます。
 
 
 
 
work-swan.b-50.jpg作り直したバッテリートレー。バッテリーの隣に写っているのはセレン整流器です。
 
現代のダイオードの物に変えるべきなのですが、今回は新品という事もありそのまま使用する事にしました。
 
 
 
 
work-swan.b-51.jpg
パーツの仮合わせは塗装前に全て行っていると、取り付けの際に慌てる事なく作業する事ができます。
 
 
 
 
work-swan.b-38.jpg
シートベースは減っていたピンを作り直し、その他塗装でない部分はメッキしました。
 
シートはリプロの新品を使用する予定でしたが、装着感がしっくりこないという理由で張替えました。
 
 
 
 
work-swan.b-41.jpgフェンダーライトの4.5馬力に比べ、排気量が上がった分5.4馬力となり幾分か乗りやすくなっています。
 
ちなみにエンジン側のサイドカバーは上にガバッと開く、この年代特有のもので見た目は良いのですが
 
整備性はあまりよくありません。
 
 
 
 
work-swan.b-42.jpgスワンネックと呼ばれる由縁がココにあるようです。
 
余談ですがスワンネックと最初に名づけたのは京都の人らしいです。
 
 
 
work-swan.b-43.jpgクラッシュバーやホイールキャップ等のレアパーツは、
 
お客様がこの車輌を仕上げた時に付けるべく前々から集めていた物です。
 
 
 
 
work-swan.b-00.jpgこの車輌には作り手側にもかなりの思い入れがあり、
あれもこれもとやっている間に半年以上もかかってしまいました。
 
 しかしオーナーさんのご理解とベスパに対する強い思い入れがあったからこそ、
じっくりと時間をかけてここまでの物を作る事ができたと思います。
この場を借りてお礼を申し上げます。