
カネバンは板金塗装がメインなのにこのWORKでなかなか詳しく取り上げる事ができなかったので、
今回しっかりと板金についてご紹介していきたいと思います。
車輌は150GS VS-3でヨーロッパより輸入しました。
程度はお世辞にも綺麗とは言えませんが、変にパテで厚化粧されているよりはましなので
この車輌を再生する事にしました。

まずはエンジン側のパネルから見ていきましょう。
今現在、黒く見えるのはさびを発生させないようにサフェーサーが吹いてあります。
余談ですが当店で使っている2液のサフェーサーは、白・グレー・黒と3色あります。

パネルフック部分のアップです。
サンドブラストによってサビや塗装を綺麗に落としたら鉄板に穴が開きました。
コノ部分の腐食はそんなに珍しい事ではないので切り継ぎをします。

表からのアップです。パテやFRPで隠してしまうなどは論外。すぐにモゲて無くなります。

裏からのアップ。フック廻りの構造的は2枚の鉄板で出来ていて、裏の鉄板が補強というわけです。
この2枚の隙間に水が溜まってサビを進行させます。

腐食している部分をエアサンダーで切り落とします。

その次にぴたりとはまる鉄板を作ります。
3次元の曲線なのであらかじめ形をハンマーで整えてから合わせます。

TIG溶接終了後、ビードをサンダーで落としてあげます。
溶接時になるべく熱をかけずに素早く行なわないと鉄板が歪んでしまい、修正に時間がかかります。

裏の補強部分も新たに製作します。オリジナルは1.2mmですが今回は1mmを使いました。
充分な強度を保てるのと、加工のしやすさを考慮しての判断です。

このパーツの名前は知りませんが判る方は多いのではないでしょうか。
パネルに付くガイドと申し上げればよいでしょうか。今回これも製作しました。
まず、旋盤で中心部を作りワッシャーを溶接、そしてサンダーですりワリを入れます。
このすりワリの部分が2枚の鉄板を挟む格好で入りロウづけで固定します。
上の表からのアップ画像を参考にしてもらえれば少しわかり易いかもしれません。

ボックス側パネルです。150GSの特徴の一つ、大きなお尻。
板金も慎重に行なわないとバランスが崩れてスタイリングを損ないます。

ボックス側の腐食の主な原因は湿気とバッテリーの希硫酸によるものです。
国内のバッテリーですと充電時に希硫酸がオーバーフローをしてもブリーザーホースで外部に逃がしますが、
ヨーロッパで使用されている多くのバッテリーは上部のキャップ部分に穴が開いていてそこから逃がしています。
結果ボックス内部にこもり、長い年月を掛けてすこしづつ鉄板を腐食させていくのです。

ボックス底の部分のアップ。
サビでアバタになっているのが見て取れます。
後々ロクな事にならないのでバッサリと切り継ぎで作業を進めます。

今回もエアサンダーで大きめにカット。
グラインダーのカッターですと細かな曲線は切れませんので、
切り継ぎをお考えの方はぜひともエアサンダーをご用意下さい。

上が製作したもの、下が錆びたオリジナル。コノ作業で使用したものは、砂袋と厚めのゴム板、
木ハンマー各サイズ、鉄ハンマー各サイズ。工具については次回ご紹介するとして次の溶接に移ります。

熱を掛けないようにまずは点付けで全周止めます。この時もなるべく溶棒を使わずに作業を進めます。

溶接時は強烈な光が出るので遮光面はかならずつけて行ないます。
自動の遮光面ですとアークが飛んだ瞬間に暗くなり、終わると明るくなるという優れモノ。
最近では価格も安くなってきて1万円前後でも買える商品が有るようです。

溶接終了後のパネル。黒くなっている部分が熱が掛かった場所で最小限に留めているのが判ると思います。

ボックスを止めるフックです。1ミリで製作しました。

切り継ぎしたパネルに左のフックをオリジナルと同じ位置につけます。
取り付けはスポット溶接で付けますがTIGやMIGでも可能です。

前項で作業したボックスが付くボディー側、すなわち左リヤ部ですが、
こちらもダメージは避けられずバッテリートレーも無くなっています。
前オーナーが取り外したのでしょうか・・・?

要領はパネルと同じでダメージ部分+アルファーで切開します。
シースルー状態になっているのが判ると思います。

新たに製作したパネルをあわせますが、ここの部分はボックスとの組みつけがありますので
その辺りを充分に考慮して作業を進めます。
切り継ぎ溶接後サンダーでビードを落とし、ハンマリングで面を出します。
下側を見ていただくと判ると思いますがリブも綺麗に復元されています。
手叩きでのりブ起こし作業になりますが、ココの場所は平らではなくアールを描きながらリヤ部分に繋がる
ビミョウなラインになっています。その辺もしっかりと繋げ、デザインは一切崩していません。
無くなっていたバッテリートレーを製作。オリジナルの寸法どうりに作ってあります。
先ほどの切り継ぎ箇所にスポット溶接で留めていきます。
さびの無いボックス側が新たに完成しました。しっかり作ればパテの量も少なくてすみます。
リヤ部分ですが、テールが付く付近が腐食していました。ここも水の溜まり易いところです。
この切り継ぎしたところ以外はしっかりしていてピンポイントの切り継ぎですみました。
腐食し易い場所としてはあまり認知されていませんが結構この手のサビは多い気がします。

フロアー中央部のつなぎ目のアップですが、ベスパは基本的にスポット溶接で
いくつものパーツを組み合わせて出来ています。
このつなぎ目こそが我々板金屋泣かせでもあり最重要ポイントでもあります。
さて、ここまで来ますとお判りかと思いますが、ベスパ最大のウィークポイントといえば・・・。






