
はいっ、フロアーです。これで泣かされた方は非常に多いのではないでしょうか。
言わずと知れた難所を今回はバックリと切り取って新たにフロアーを製作する過程をお見せしたいと思います。
前から後ろまでサビによる巣穴が無数あり、ピンポイントの切り継ぎでは長くもたないとの判断で
今回の作業に踏み切りました。

今後世に出て来るベスパ達の程度が自然に回復する事は決してなく、
10年~20年とドンドンと悪化していく一方です。
ビンテージスクーターも減少の一途を辿る事は確実でそれに反比例して価値は
おそらく年々上がって行くことでしょう。その時に避けては通れない場所なので、
カネバン的にもいち早く技術を確立して対応していく事がお客様にとっても当店にとっても
大変望ましい事と思っております。

フロアーをフロント下より剥がした図。
中は赤茶色のサビが進行していますが、トンネル上部へのダメージは軽微で充分再生可能です。

パイプが見えますがこれがハーネスの通り道です。ここにも容赦なく水が浸入してハーネスを固着させます。
せっかくなのでと言うよりも交換が必要でしたので後々ご説明させて頂きます。

フレームの外部と内部を遮断する壁もご覧の通りの状況ですので仕切り版製作、交換は避けられません。

上から。トンネルの耳の部分も一部欠損があるのでまず耳を補修してからフロアー製作に移ります。
150GSの流れるラインを無事に復元出来るのか!?次回は本格的な作業に入ることとします。

さて、ちょっと話は変わりまして、我々板金工の使っている工具の一部をお見せしたいと思います。
全部並べていると日が暮れますので・・・。

ハンマーは数十本あり、形が違うのを並べてもざっとこんな感じです。
お気に入りのハンマーは数本程度でそれらをメインに使っています。
左下の木ハンマーは今回のフロアー製作時の様な大きな鉄板のあら叩きなどに使用しました。
後は頭を削ったり柄を切ったりと何でもありです。
茶色の柄のハンマーはスナップオン製で作りが非常に良いのですが、
スクーターには大きすぎるのと価格が大変高価なのであまり買えません。

こちらはあてがねで『ドーリー』と呼ばれる物です。
昔は鉄の塊やトラックのリーフスプリングを削って作ったと言う話を聞きますが、
今は普通に売っているのでそちらを若干使いやすくして作業に使っています。
一番右のものは牛皮の袋に鉄の玉が入っているモノでアールなどを叩く時などに重宝します。

エアー工具は今回無しにしようと思ったのですが、コイツは床製作時に活躍したのでご紹介しておきます。
エアーハンマーと言うもので読んで字の如くブルブルとエアーでハンマリングしてくれます。
ヘッドのみ今回の為に製作しました。

リベットといっても一回こっきりではなく何回も使える優れもので本文でも紹介できると思います。
150GS切り継ぎの本丸、床廻り編のスタートです。フレーム本体、耳部分のアップですがご覧の通りの状態です。
いつもの様にバッサリと切り落とした後、周辺の錆を出来るだけカップブラシ等で除去しておきます。これは溶接の為の錆び取りで、
きちんとした錆び取りはブラストで行います。
フレームの耳部分でもちょうどココはコーナーの場所にあたります。なので、新たに製作する耳部も三次元のアールをつけてたたき出し。

溶接終了。他の切り継ぎ部よりもしっかりとした寸法で作らないと
後々床を付ける作業が大変になるので、とっても神経を使う作業となります。

溶接後別の角度から。アールが綺麗に出ているのが解ると思います。

この場所以外にも何箇所か耳が錆びていたので溶接や切り継ぎで修復。

耳部分が終わったらさっそく仕切り板の製作に取り掛かります。
この写真は前回も出ていますがおさらいの意味でアップ。
ココも耳部同様、寸法的には非常にシビアな場所となり、
ワイヤ類のガイド(鉄のパイプ)もこの上を通って外に出て行きます。

製作した仕切り版。日本でいったい何人の人がこんなものを作ろうと思った事か・・・。

仕切り版をスポット溶接で取り付け。寸法通りぴったりです。
さて、これにて床製作の下準備は終了!と思いきや
ワイヤ類のガイドも製作しないと・・・。
なかなか先に進まないこういう所が再生作業の大変な所で、
次から次に何かしら出てきます。

ワイヤーのガイド管をオリジナル通りの寸法で新たに新調しました。

配管にアールをつける時は慎重にやらないと潰れてしまいます。

配管画像の切り口アップ。向かって右側よりリヤブレーキ、
真ん中はシフト2本、左側がクラッチ。
中央の配管だけ出口を横長に潰してありますがこれもオリジナル通りです。
この時点では配管は少し長めに切りシロを残しておき、
床を貼り終えてからにカット、最後にロウ点けで固定します。

コイツは今回の張替えの原型を取るためのドナーです。
車体はメッサーなのですが、恐ろしく程度が良かったので白羽の矢が立ちました。
次回はコイツの床部分を使っての『FRPのメス型製作』をお伝えします。





こいつをこれから手叩きで料理していくわけですが、
アルミと違ってかなり力が必要な作業になってきます。









