
最近人気のフェンダーライトの中で、特に人気が高いのが51年式です。
理由としては、ローマの休日で使われていた車輌がこのあたりの年式であるという事と、
ライトやサイドパネル等が後の年式に比べ小ぶりであったりと、スタイルの良さも人気の要因でしょう。
今回はお客様のご希望により、できるだけオリジナルに近い感じで仕上げる予定です。

この時期の車輌は左右のサイドパネル・フロントフェンダー・ホーンキャスト等にアルミが使われており、
スチール製のものより板金作業が難しいとされています。
その理由としては1度伸びてしまったアルミは熱などで絞る事ができず、
元に戻す事が非常に困難なのです。
エンジンはボアが56.5mm、ストロークが49.8mm、124.789ccで最高出力4hpです。
カタログデータ上の最高速度は70kmとなっています。ちなみにファンカバーもアルミ製です。
リアサスマウントを外そうとナットを緩めたところ、ナットは緩んだのですが、
外れる気配が一向にありません。多分ナットがなめてしまっているのでしょう。
そうなってしまうとボルトを切断するか、ナットを壊すしかありません。
写真に写っているのはナットスプリッターといって、ナットを割る工具です。
こんな感じでナットが割れました。
古い車種によく付いているコレは、日本風に言うと税金を支払ったという証明です。
イギリスやイタリアではコレが重要で、基本的には税金を支払っていないと走行してはいけないのです。
この紙を見ると少なくとも65年までは現役だったという証拠になります。
足廻りは泥と油の塊が何層にも重なっており、一先ずスチーム洗浄をしてから分解する事にしました。
分解をするとこの様になります。
この中から使える部品、取り替える部品、塗装する部品、修理する部品等を選別します。
ボディ廻りを分解した写真です。部品の欠品や破損具合を調べて、
無い物は海外等に注文し、それでも無い物は部品を制作したりもします。
シートのヒンジ部分が欠けていて、本来入っているはずのピンが抜けていました。
ヒンジ部分の欠けていた部分を作り直し、溶接をし、
ピンが通る穴が広がっていたところは溶接で盛って、ピンの穴の大きさに開けなおしました。
抜けていたピンを作り、かしめたところです。
本来プレス等でかしめるのですが、今回はピンを炙って手叩きでかしめました。
センタースタンドは真ん中からよじれており、ストッパーも左右ともに曲がっていて、
まともに車体が立つ状態ではありませんでした。
ストッパーは曲がりを修正した後、減っていた箇所に溶接で肉盛りし形を整えます。
よじれを直した後、何回か仮組みをしながら修正を加えていきます。
出来上がったスタンドです。
ここまで手間がかかるのであれば新品にした方が良かった・・・とちょっと後悔。
板金編をスタートさせます。エンジン側のパネルです。
一見簡単そうな形ですが三次元でのアールが掛かっており、尚且つアルミという代物です。
まずはサポートのアームを外します。
アルミに対して鉄のサポート、そして鉄のサラリベットという構成です。
画像はリベットの頭を削り取っている所です。
外したサポートをブラストして裏側にPORという強力なさび止め材を塗っておきます。
普通の板金ではここまで外しませんが、ご要望によってはここまで出来ます。
各部にクラックが入っていましたのでTIG溶接で埋めておきます。
溶接もひずみが出ますので素早く且つ正確にすることが要求されます。
ビードをサンダーで削ったところ。
フックの先が減っていたので新品に交換しておきます。
こちらも鉄のリベットで留まっているので板金の時に交換します。
カネバンではこんな外装類の細かな部品も多数在庫していますので、
板金塗装の際にはお気軽に声をかけてください。
先ほどのフックをリベットでかしめた所です。
こちらも同じくサポートをリベットにて留めました。
リベットのサイズは国内の規格には無く、アメリカからの輸入モノを使いました。
全ての仮組みや取り付けが終わったところでパテを塗り面を出します。
いかに板金で追い込んでもハンマー痕が残ります。
それを薄く均一にパテを牽くことで面を出していきます。
あくまでパテでヘコミを埋めるということはしていません。
サフェーサーを塗装後、水研ぎで最終的な面を出して塗装します。
ボックス側の板金です。こちら側はかなりへこみが多くて少々苦労しました。
まずは基本のブラストをして溶接です。
同じ事の繰り返しになりますが板金は本当に根気勝負になります。
アルミの板金は歪ませると後々大変なので形を見ながら少しずつ進めましょう。
ボックスの蓋です。一枚モノのエンジン側よりも蓋のあるボックス側は、
叩いた数だけ仮組みをしなければならず本当に大変です。
蓋とボックスがピタリと合いました。フェンダーライト等の年式までくると、
蓋がちゃんとしまらない車輌が多いです。
せっかくのオールペンであればこういうところをしっかり仕上げた方がグッとしまって見えます。
こちらも出来るだけ薄くパテを入れます。
完成。蛍光灯の写りこみが歪みなくでればOKです。






