
VESPA125 1950年の登場です。
2003年10月12日に行われた「ベスパブランチ」で、完成車を見たという方も多いかもしれません。
(ブランチのレポートに完成写真が載っています)
98では左側で支持していたホイールが125から右側に変更され、
フロントにはコイルスプリング、リアにはスプリングとダンパーが採用されています。

1950年モデルからセンタースタンドが採用されました。
98ではサイドスタンドすら付いておらず、フロアーのでっぱりで縁石等に
立てかけておくというお粗末なものでした。1948年からはサイドスタンドが付きましたが
スタンド自体構造がちゃちく、フロアーが歪んでしまうなどの苦情が多かったようです。
98から採用されていたロッドチェンジ(ギアチェンジをリンクとロッドを介して行う)は1950年が最後となります。
その後51年からはお馴染みの2本のワイヤーを使ってギアチェンジを行うようになります。
エンジンは元々98㏄だった排気量が1948年から125㏄になりました。
基本的にはエンジンのキャスティングは98/4(後期型)のモノを使用し
シリンダーのボアを拡大し125㏄にしたようです。
車体をバラすのはフロントフォークを抜くトコロから始める事が多いのですが、なぜでしょう?
・・・癖?
大発見!この年代のフロントフォークは端までネジが切ってあるんですね!
1950年しか採用されなかった、通称フィッシュマフラー。
リアブレーキペダルです。この形のモノは50年が最後でした。
イタリアのデザインらしく非常に美しいと思いませんか?
タンクストッパーもこの形のモノは50年が最後です。
この後のモノよりしっかりとタンクが押さえられて良いと思うのですが・・・。
車輌をバラす作業は非常に地味ですが、ここをいい加減にやってしまうと
余計な出費等で痛い思いをする結果に・・・。
以前に紹介した51年と現在Workでご紹介しているModel-Uと基本的には同じエンジンを使っている
50年Modelですが全く違うのがこのエンジンハンガーです。
奥に有るのが98の物で殆ど同じ形をしています。
大きな違いはマウントボルト用のシャフトが有るか無いか程度です。

でもよーく見ると98よりキャスティングが荒い事に気が付きます。
湯口のモールドがバッサリ切られた所等は98では一切見られないのですが
50年だと無造作に其のままにされています。
見た目には余り宜しく無いかと・・・

50年からはマウントにラバーブッシュが圧入されるのですがラバーの厚さと幅が
十分で無かったためか偏芯しています。勿論此処も新品のブッシュに交換します。
でも小さい割には意外とすんなり入ってくれないんですねぇ。
ばらし終わったエンジンは各パーツのチェックをします。
またこの様に写真を撮っておけば後々紛失等のトラブルも避けられますね。
しかし、何回見てもベスパのエンジンはパーツ点数が少ないです、
しかも基本構成がPXまで変ってないんですから凄いです。
アクスルシャフトのスパイダー部分とセレクターロッドの分解写真です。
ランブレッタに比べてギア抜けのトラブルが多いベスパですが、
特に60年代まではピアジオも試行錯誤していた様です。
でも意外と70年代以前の車輌ってギア抜けが少ないんです。
高年式のベスパのギアと比べると判りますが初期のベスパのギアは大変作りが良く丈夫に出来ています。
要はスパイダーのみを消耗部品とする事で高価なギア自体を交換しなくても良い要にしたのでしょう。
しかし70年代を過ぎる頃にはギア自体の材質も悪くなりスパイダーは
勿論ギア自体の消耗が目立つ様になります。まぁ其れもPXでやっと解決されるんですが・・・
エンジン以外にもいえますが60年代中期頃までのベスパは本当に贅沢に作られていると思います。
後の年式では一体化されるスパイダーですが
当時は一体に作る技術が無かったのか2コのパーツで出来ています。
で、ご覧のとおりに重なると見慣れたスパイダーになると言う訳です。
51年では3枚のクラッチも50年では2枚しか有りません、
幾らパワーが無いエンジンでもどう考えたって容量不足ですよね。
オイルの微妙な粘度違いにもジャダーが出たり滑ったりと苦労させられるクラッチです。
クラスターギアにベアリングを圧入している所です。
間違っても叩いたりして入れないでくださいね。
プレスをお持ちでない人は万力を使ったり熱膨張の差を利用してください。
クランクのオイルシールですがベアリングと同じく後の年式の物と比べ径の小さい物を使っています。
大きさ的には50S等で使っている620等4と大差無いのですが、
多分なんらかの不具合が有って後に大きさの変更受けたのでしょう。

クランクはコンロッドの入れ替えをしています。
コンロッドの入れ替え時にばらしたクランクウェブも綺麗にしてあげます。
写真で見る限りは新品の様ですねしかし絵に描いた様なカウンターウエイトです。
思わずフルサークルに加工してみたくなります。
多少は馬力上がるかな?

クランクの次はクラスターギアをケースに収めます50年Modelだと
スタッドボルトがケースに直に付いている為、150GS等でよくやるクランク下の2本を入れ忘れて
ケースを閉じてしまうトラブルとは無縁です(やった事の有る人は解かりますよね)
でも此れだけの本数のスタッドだとケースを閉じる時にちょっと閉じづらい事も確かです。

アクスルシャフトに有る切り欠きですが挿入時にクラスターギアとの干渉を防ぐ為に有ります。
ギリギリまでスペースを削ってパーツを納めようとした努力の跡ですね。
ただ、此れを無視してシャフトを入れると最悪ケースを破損してしまう恐れが有るんです。

シャフトにギアを収めて最後にスターターギアの受けを入れるんですが、
高年式のフェンダーライトやGS等ではこのパーツは反対側のケースに収まるようになっていて
写真でベアリングになっている所もメタルのブッシュに変更されます。
元々シャフト側に2個もベアリングが入っていますから3個も要らないって事になったんでしょう。
実際3個も要らないと思います、ベアリングの無駄遣い。

そしてこのタイプのエンジンを組むにあたってのハイライト!!!がスターターギア廻りなのです。
上でも述べたようにGS等ではこのパーツは反対側のケースに収まりますから
ケースを合わせるのも大変楽です。しかし見ても解かるとおりどう見たって不自然な状態で
パーツがギアの上にのっかっています。ギアのリターンスプリング等は結構なテンションがかかっていますし、
ラチェット状のギアを押す2本のスプリングも邪魔をして手を離すと一気にパーツが崩れてしまいます。
エンジンを組む時は此処が崩れない様に保持しつつ温めた反対側のケースを合わせる、
しかもクランクの芯を狂わさずに慎重に組むと言う訳の解からない状態に陥ります。
これだけは何回やっても緊張します。

クランクシャフトのクラッチ側に溶接の跡が有りました。
普通のクランクなら別段困ることでは無いんですが50年だと大変困ります!!
誰だこんな事してくれた奴は!!!
何故かと言うとクラッチプランジャーの形状が以後のモデルでは全く違い、
センターのシャフト状のピンがクランクの中に通る構造になっているからです。
何故こんな構造にしたのか理解に苦しむんですが、後の年式の物と互換性が無いので
溶接された所に穴を明け直しどうにかプランジャーを取り付けました。
ドリルの刃がダメになるオマケ付き。
ケースにクラッチを収めた所ですがクラッチカバーを留めるボルト穴が
ケースの内側に有るのに気づきましたか?
此れもこのタイプのエンジンまでの特徴です。
でもデメリットも有って容量の大きい高年式のクラッチが入らないんです。
あれっ?変な所にドレンボルトが有りますね。
実はクランク室のドレンなんですが如何に当時かぶる症状が多かったが垣間見えます。
が、その位当時のエンジンは不安定だったという証拠にもなります。
しかし、クランク室にドレンつけるならミッションのドレンも付けて欲しかったと思うのは
私だけでは無いと思うんですが・・・
シリンダーも組み上がり大体完成したエンジンです。
関係ないですがこのエンジンをシリンダーを上にして倒したらまんま普通のバイクのエンジンですよね。
ランブレッタを作ったイノチェンティ社はプロトタイプでスクーターのエンジンを流用したバイクも作りましたが、
ベスパのエンジンでも出来そうです。
バイクのエンジンにしても結構コンパクトでいいと思うんですけど。






